装画:「夜は流れる」
高山ケンタ

連作 後白河法皇 中
大原寂光院 亡魂慰霊の鐘の音

高野 澄(歴史研究家・作家)著

ジャンル[歴史小説]
2020年1月20日発行
四六判上製・344頁
定価:3,800円+税
ISBN 978-4-903174-41-9 C0095

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「諸行無常」の調べを奏でつつ。

人間は何のために生きるのか。
何を支えとして生きるのか!
「生者の世界」と異界が交流する、
生と死、そして再生への思い。
魂を鎮める夢幻能のごとくに。

名のみを知る『平家物語』
せめて一度でかまわぬ、読むことかなえられたら、
いかに幸せであろうかと。

大原寂光院の徳子に逢いたい!

「こころの信号」で「浮世」の人と
「冥界」(アナザーワールド)をつなぎ交歓する、
音と声の平家物語「大原御幸」の
再現ドラマ・パフォーマンス!

琵琶法師が語り継ぐ、哀切の物語。

高野澄「歴史文学」の到達点!


女院(建礼門院)徳子は語る。

一方派(いちかたは)琵琶法師のみなさま、わたくしが平徳子です。
清盛の娘、高倉天皇の中宮、安徳天皇さまの生みの母、
建礼門院の称号をいただいて洛北は大原、寂光院の主となり、
源氏との戦いで没した平家一門のすべての母、妻、姉妹、
娘として慰霊の祈りをささげてまいりました。
わたくしが浮世からこちら冥界にうつってからなのか、
そちら浮世に『平家物語』という書物があらわれたのを知りました。
僧の慈円が計画し、それに青蓮院の生仏や信濃前司行長が
智慧と手をそえてできあがったのが『平家物語』なのだと
知ったときには、浮世の琵琶法師さまがたの幸運を
うらやましくおもいつつ、妬みもいたしました。 [本文より]


祇園精舎(ぎをんしゃうじゃ)の鐘のこゑ、
諸行無常のひびきあり。
沙羅双樹(しゃらさうじゅ)の花の色、
盛者必衰(せいじゃひっすい)のことわりをあらはす。
おごれる者もひさしからず、ただ春の夜の夢のごとし。
たけき者もつひにはほろびぬ、
ひとへに風のまへのちりに同じ。

[目次]

一ノ章阿波内侍を知りたい!
二ノ章われらの目はみえぬ なぜ?
三ノ章阿波内侍からショシャ法師さまへ きこえますか!
四ノ章天神グミが薬師ヨリと合体した
五ノ章阿波内侍 自意識
六ノ章魂はひとりにひとつ 別々に
七ノ章「拈華微笑(ねんげみしょう)」〈華を拈(つま)んで微笑む〉
八ノ章「還御なしまゐらッさせ給へ!」〈お帰りあるようになさいませ!〉

*続刊「連作 後白河法皇 下 阿波内侍から島倉千代子へ 祈りの響き」

高野 澄(たかの・きよし)

1938年、埼玉県坂戸市生まれ。同志社大学文学部社会学科卒業。新聞学を専攻。立命館大学大学院史学科修士課程修了。専攻は、日本近代史。立命館大学助手を経て、著述専業、歴史研究家・作家に。これまでの刊行著作は111冊。

主な著書
『徳川慶喜 近代日本の演出者』(NHKブックス)
『麒麟、蹄を研ぐ 家康・秀忠・家光とその時代』(NHK出版)
『武芸者で候 武蔵外伝』(NHK出版)
『風狂のひと 辻潤 尺八と宇宙の音とダダの海』(人文書館)
『オイッチニーのサン 「日本映画の父」マキノ省三ものがたり』(PHP研究所)
『京都の謎(シリーズ)』(祥伝社)
『文学でめぐる京都』(岩波ジュニア新書)
 (復刊タイトル『古典と名作で歩く本物の京都』)
『大杉 栄』(清水書院)
『連作 後白河法皇【上】 王朝活劇 歌の声』(人文書館)など。

(写真「国立文楽劇場〈大阪〉にて」)

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